Thursday, July 30, 2015

船員の日 2015

AOSニュース
Apostleship of the Sea

2014年7月12日 日本カトリック難民移住移動者委員会 発行












漕ぎだそう、人の和と輪で、
イエスと共に

 以前、「海の上のピアニスト」という映画を観たことがあります。船で生まれ、船で育ったピアニストが、一度は船を降りようとしたができず、最後は廃船となって爆破されていく船に一人残っていくというストーリーです。彼の世界とその生涯は船の舳先(へさき)と艫(とも)の間に収まっていましたが、とても意味深いことを言っています。「(ピアノ)の鍵盤の数は88と決まっている。無限ではない。弾く人間が無限なのだ。人間の奏でる音楽が無限なのだ。無限じゃない鍵盤で自分の音楽を創る幸せ、それがぼくの生き方だった」と。その彼は、今度は地上の生活を見て、「あのタラップの下で広がっていたのは際限なく続く何千万、何億という鍵盤だった。無限に続く鍵盤、無限の鍵盤で人間が弾ける音楽はない」と語ります。
船員さんたちは何日も、時には何か月も狭い船の中で生活します。でも、地上で生活している私たちには普段感じていないことを感じ、見えていないものを見ているに違いありません。訪船活動をしたり、船員さんのたちの生活を知ったりすることで、実は私たち自身が開かれていくことも多いのです。
また、その船の積み荷を地上の何万、何十万人の人たちが使い、生活の一部にしていることを思えば、実は彼らはとてつもない広がりの中で仕事をしていることになります。実際、日本で生活している私たちの衣食住から日用品にいたる生活物資の99%以上が「みなと」を経由しているからです。

船の上のピアニストは、こう言います。「何かいい物語があって語る相手がいる限り、人生捨てたもんじゃない」と。彼らの語る物語を聞きにいきませんか。そのことを通して、船員さんたちも私たちも「人生、捨てたものではない」と一緒に喜ぶことができれば素晴らしいと思います。
 船員の日に当たり、今一度、私たちのために海で働く人たちがいることを知り、彼らのために祈り、共に生きていることを表す訪船活動を支えて下さるようにお願いします。

(2015年「船員の日」メッセージ『狭くて、広い世界に生きる船員さんたち』より抜粋)

日本カトリック難民移住移動者委員会  
委員長 松浦 悟郎(名古屋教区司教)





私たちのために、海で働く人々

 世界貿易の90%は船で運ばれ、働く商船員数は約120万人という統計がありますが、それに比べて漁船員数は約4100万人と言われています。日本の漁船員数はここ10年程に約26%減って、現在約22万人ほどだそうです。そして不足する人手を、海外からの漁船員で補っているのですが、その現状は殆ど知られていません。
 漁船員たちは乱獲、違法操業、低賃金、超過労働などにさらされています。また、漁師としての訓練不足、不十分な言語能力に加えて、安全や労働基準の欠如などで、強制労働や人身取引などの対象になりやすいのです。なぜなら、漁船という職場が孤立していること、出稼ぎという弱い立場にあること、激しい競争があることなど、犠牲となる条件が揃っているからです。更に、漁業分野での強制労働・人身取引を予防する協働や配慮が欠けていることも拍車をかけています。
 外国人の雇用は通常海外の「派遣業者」の法人からの「派遣」契約で行われ、それが外国の法人との間でなされているため、給料の相場や医療ケアの条件は大体決まっているようですが、劣悪な労働条件であることに変わりはありません。リクルートは、日本人船員を日本で載せて当該国やシンガポールなどに行き、外国人船員を載せて操業するのが一般的だといわれています。因みに日本の漁船に乗船する外国人の90%はインドネシア人だそうです。
 何も考えず「さかな」を口にするとき、私たちのために海で働く人々を思い起こしていただければと思います。
(加藤 喜美子 記)






 各地のAOS活動報告 

 名古屋                   名古屋港ステラマリス(港教会)山口正美
 船員司牧で訪船活動は私達にとっては、活動の中心となる大事な布教活動ですが、年末になると税関や港湾局などが目を光らせてみている時があります。昨年のクリスマスイブのときの訪船日誌には次のような記述がありました。
 …最近、船に持ち込むために積み荷許可書を書くように税関から云われました。何時も持っていくものには、新聞、雑誌、カレンダー、ニット帽子などがクリスマスにかけて多くあり、税関も無視できないようで、積み込み許可書を書くように言われて、訪船まえに事務作業が大変なときもあります。でも何とか船まで持って上がり、船員さん達に配っています。名古屋港は今、シスター達や刈谷のボランチアグループ、友の会達が訪船に協力して少しでも多くの船員とコンタクトを取るように努力をしています。でも海の風の冷たさは大きな誘惑で「どうしてこんな所まで来て新聞配達をしなければならないの?」という声がいつも聞こえてきますが、主の馬小屋を考えると、「なんのこれしきの寒さ」と言いながらギャングウェイを登って行っています。ニット帽子など大変喜ばれます。貰った船は皮肉にもすぐに南下していくので高価なニット帽子はいらないのではと思うのですが、欲しいということで差し上げています。カレンダーなども一緒にあげるとさらに喜んでくれます。
 最近私のカメラが壊れて、写真が送れません。昨日シスターに撮ってもらったものを1枚添付しておきます。よいクリスマスをお迎えください…。
名古屋港訪船日誌から(2014/12/23)




                 
 東京                                  東京教区 川口 薫 
 AOS東京は、港運同盟関東地方本部内に事務所を構え、訪船、各国語の新聞・雑誌の配布、資料・情報の作成、船員からの諸依頼に対する対応、その他の活動を行っています。キリスト教関係者だけでなく、仏教、諸宗教の方々も参加してくださり、それぞれが仕事を持つ中、時間に余裕のある時を利用しながら様々な形で強力してもらっています。
 活動方針としては、訪船を中心としていますが、事務所の移転に伴い、以前より広いスペースが確保され、wi-fiの設置によるインターネットのサービスも開始しました。船員たちは停泊時間が短いため、船からの外出もままならない状況ですが、仕事の合間をぬって事務所に来所し、インターネットを利用する船員も増えています。今後も船員たちの来所利用がさらに増えることを望んでいますが、東京港の拠点として、どのようなあり方が船員たちにとってより助けとなるか、現在、考慮中です。

 ミサや霊的・精神的支援は、何よりも大切な活動です。ミサ依頼は減少傾向にありますが、秘跡への望みや精神的な満足、霊的刷新のための意向は変わっていないように感じます。今後の海運業の動きを見ながら、船員たちの霊的ニーズをよりよく満たすことのできる方法を模索していきたいと思います。
 AOS東京は、東京教区から直接の支援と理解をいただき活動していますが、今後も船員たちの必要性に敏感に応じ、応需性と機動性を備えたより中身の濃い活動としていくため、計画的な資金作りを行っていく必要があります。また、船員たちとの人格的、定期的な関わりが深まるにつれて、訪船協力者の質的向上と継続的なスタッフ養成が急務となっています。

 東京教区における移動者のための司牧がより意義深く展開し、現代社会の諸問題に具体的に貢献していけるよう、今後も活動の輪を広げていきたいと思います。





 青森                                                仙台教区 Garry C. Gestoveo
 八戸の復活祭のミサの後で、私は買い物をしようと思い、港近くのデパートに行きました。そこは港に近いため、船員たちがよく訪れるということは以前から知っていました。
 私が(店を?)出ようとすると、タガログ語で「フィリピン人ですか?」と尋ねられました。私は「そうですが?」と答えました。3人の男性が、米ドルを円に両替できる場所を知りたがっていました。日曜で銀行はどこも閉まっていましたので、私が両替しようと言いました。私が自己紹介をし、3人の買い物が済んだら港まで送ると言うと、彼らはホッとした様子で申し出を喜んでくれました。
 その夜、その船員の一人から昼間のお礼のメッセージをもらいました。私は、明日時間があるなら一緒に出かけないか、教会にも連れて行くし、そこならインターネットを使ってご家族と連絡が取れるかもしれない、と言いました。船員たちが教会に来るとどれほど熱心に祈るかを私は見てきたからです。私が飲物を出すと、船員の一人から、日本の本物のラーメン屋に連れて行ってくれないかと言われました。ちょうど教会の近くに一軒ありました。皆で店の畳敷きの間に座りました。彼らは畳が初体験だったので、大喜びで、当然ながら長い時間写真を撮っていました。
この出会いで私たちが船員たちにどのように影響を与えたかは、知るよしもありません。
船員司牧にご協力ください。7月12日は「船員の日」です。
教皇庁移住移動者司牧評議会は毎年7月第2日曜日を『船員の日』として船員のために祈る日と定めています。『船員の日』のミサの中で、船員に感謝し、彼らの安全を祈り、彼らの家族の平安を祈ってください。






日本カトリック難民移住移動者委員会
Catholic Commission of Japan for Migrants, Refugees and People on the Move
135-8585東京都江東区潮見2-10-10日本カトリック会館
電話03-5632-4441 FAX03-5632-7920






AOS Japan Poster for Sea Sunday
July 12, 2015


E-mail: jcarm@cbcj.catholic.jp  http://www.jcarm.com